Dragged Out Studio(東京 国立市)

名称
Dragged Out Studio(ドラックアウトスタジオ)
代表者
池田晶紀
設立メンバー
池田晶紀、宮本圭、大原大次郎、中塚仁史
連絡先
東京都国立市東4-27-34 パールテンポ101
TEL
042-577-0807
FAX
042-577-0845
E-mail
draggedoutstudio@hkg.odn.ne.jp
HP
設立
1999年4月(ノンプロフィットギャラリーの活動は2000年5月から)
スタッフ人数
上記設立メンバーに5人が加わって現在は総勢9名。
他に、展覧会やイベントの際にはボランティアの学生が参加。
収入源
すべてメンバーの自己負担。
サポート
特になし。
企画本数
スタジオメンバーや外部の作家の個展が年3〜4本、グループ展が年2〜3本、近所の方や親しい方を対象としたプライベートビューや、展覧会開催中に関連したトークショーなどのイベントが年2本程度。
主な客層
美術関係者、美大生、近隣の住民が中心。国立・立川在住の美術  作家なども多い。

国立・立川エリアは、東京都内でも美術系の学生や予備校生、若手のアーティスト などが多く在住している地区。ここ数年は特に、そうした学生や若いアーティストた ちが自主運営するスペースやスタジオがぽつぽつと目立ちはじめている。その一つ、 ドラックアウトスタジオは、1999年の4月に国立市内のアパートの一室を共同制作 スペースとして借りたことからスタートし、2000年には現在の場所に移転。同時に ギャラリースペースを設け、制作現場としてのみならず非営利のギャラリーとして 展覧会やイベントなどを開催している。

 設立当初から続けている主な活動の一つは、フリーペーパー『スタイル』の発行。 美術、デザイン、コマーシャルなどで活躍するクリエーターのインタビューで構成さ れるもので、年4回1000部発行、これまでに7号を出している。 「アートを通じてより多くの人とコミュニケーションをはかるための足がかりとして 出版物をつくり始めました。これは現在もドラックアウトスタジオの活動の中心に なっています」と代表の池田さん。「ただ、印刷物で伝えれられることには限界が あり、作家とのインタビューで得た驚きや発見、生のコミュニケーションから受ける エネルギーはどうしてもそのまま伝えることができません。なんとかして<生>の 感触や感動を他の人と共有したいと思い、それで移転してギャラリースペースを設置 したんです」

 最初の企画展は、フリーペーパーでインタビューした4名のアーティストを招いて の「サイクリング#1」展。サダヒロカズノリ、藤原隆洋、池田光宏、ヒロ杉山と いう、他ではおそらく見られないだろう異色の組み合わせ。「予想以上の反響でした。 美術関係以外の人もたくさん来てくれて、興味を持っている方の範囲が思いのほか 広かったのにこちらも驚いたほどです」  以後、2001年までに合計5本の個展と4本のグループ展を開催した。特に2001年の 夏に同じく国立にあるFADsアートスペースと共同企画で開催した「地雷展」は、地雷 除去のためのチャリティー展だったということもあり、地域の反応がそれまで以上に 大きかったという。「国立と立川の中学校の美術の先生が展覧会の案内をプリント して生徒に配ってくれたり小学生が夏休みの自由研究のために展覧会にやってきて メモをとったり。「子供たちと作家本人が直接触れる機会ができたということは、 子供たちにとっても作家にとっても、また僕たちにとっても本当に重要な経験でした」

 ドラックアウトスタジオは学校が集まっている地区にあるので、普段でも小学生が よく遊びに来る。夏以降、地雷展をきっかけに地域の人や子供たちと接する機会は ますます増えているそうだ。設立当初から、地域との結びつきと交流を大切にする ことを活動目的の一つにしている彼らにとって、国立という場所の地域性がもつ影響 力もまた大きいに違いない。住宅地であると同時に、美術に対する若いエネルギーが 集まっている、東京郊外の一都市。郊外であることの強み、そして多摩地区独特の空 気感は、彼らのエネルギーでもあるのだ。「今後はますます地域とのつながりに重点 をおき、そして新たに、子供たちという可能性にも注目したいと思っています。 ワークショップやイベントはもちろん、教育とアートの接点に我々ドラックアウトbrbr スタジオがどう関わっていけるのか、それを少しずつではあるけれど、アクションと して提示していくつもりです」

 フリーペーパーに始まり、予想外のメンバーを集めたグループ展、かと思えば 社会問題を意識した展覧会、それに、まるで友達の家に遊びに来たかのように出入り する子供たち。オープン以来、筆者は何度となくこのドラックアウトスタジオに足を 運んでいるが、いつも、いつまでたってもその印象は変わらない・・・なんだかわからないけど、元気がよくて、ちょっと危なっかしいけど、意外としっかりしている人たち。「この活動、ちゃんと続くのかなあ」と心配させておいて、彼らは着実にその活動範囲を拡げている。「あまり垣根を感じさせないメディアとしてのスタンスを保ちつつ、オープンで、いい意味で無責任に人を巻きこんでいきたい」という池田さんの言葉どおり、周りに拡がるネットワークは確実に大きくなっている。つかみどころのない、それでいて芯のしっかりした活動体として、今後ますます 成長していくことを大いに期待したい人たちだ。

 その他、新しい印刷物(有料)の発行を予定しているほか、スペースの外での 活動にも着手していくことも思案中。

取材/文 沼田美樹(ぬまた みき)